夏休みの宿題「読書感想文」。なかなか苦手というお子さんも多いのではないでしょうか?なので、ついつい後回しにという方も。
出来れば、お盆休み前までに終わらしておくと、後が気が楽ですよね。(本人もですが、保護者の方も(笑))
読書感想文というと「本を読む→感想を書く」と、2ステップを踏まなければなりません。これが日頃、本をあまり読まないお子さんや、小学生低学年のお子さんにはハードルが高い感じてしまうのかもしれません。
それに加え、先ず「本を選ぶ」ということも加わると、さらに「面倒くさい」「嫌い」と感じるお子さんも多いようです。

本来なら「本を読む楽しさ」を知るキッカケの一つになればいいのにね。
とは言え、本を読み、感じたことを言葉、文章にするということは、子どもたちが大きくなるうえで、とても大切な力の一つです。
というわけで、前回に引き続き「読書感想文におすすめの絵本」を3冊ご紹介させて頂きます。前回はこちら、テーマは「ともだち」でした。
今回は「冒険・探検」をテーマに3冊の本をご紹介します。

冒険、探検を扱った絵本、児童書は本当にたくさんあって悩みましたが。。。
それこそ、筆者が子どもの頃に何度も読んだのは、マーク・トウェインの「トム・ソーヤーの冒険」でした。
アラスカたんけん記

アラスカの大自然をカメラに収めた写真家の星野道夫さん。星野さんの写真やアラスカでの体験が、子ども向けにまとめられているのが、この「アラスカたんけん記」です。
確か、息子が5年生時の読書感想文で、この本を読んでいた記憶があります。写真も大きくて豊富で見応えがありますが、意外に文章も多く、小学生中高学年のお子さんにもおすすめの一冊です。
現在、星野道夫さんの写真や言葉は、小学6年生、中学3年生の国語の教科書でも取り上げられています。
星野さんがアラスカに憧れた理由から始まり、クマの1年、氷河の海、カリブーの旅、真夜中の昼 真昼の夜。そして空を覆うオーロラ。
-50度の極寒地に生きる人々と動物たち。ここアラスカでは動物は見て楽しむものでなく、生きていくために殺さなければいけないこと。
けれど、エスキモーの人々は、ネズミが集めたエスキモーポテトを掘り起こして、代わりに魚の干物を返します。そこには厳しい自然の中で暮らす生き物同士の摂理があります。

「こんな地のはてと思っていたところにも人の生活がある」星野さんの目を通して感じることができます。
余談ですが、筆者が星野道夫さんの言葉に出会ったのは、今から約17年前、星野道夫さんが亡くなった約7年後のことでした。
ちょうど看護学校に通っていた頃で、当時「生と死」についてのレポートが出ていたのですが、こちらにかなり息詰まってしまい、ネタ探しに本屋さんをブラブラしていたところ、たまたま星野道夫さんの本に出会います。
正直、星野道夫さんがどんな方なのか全く知りませんでした。ただ、その本を手に取った時「震え」てしまいました。。。心が震えたのか、本当に手が震えたのか、どちらか分かりませんが、ひどく感動してしまいました。
(その時、手にとった本は「オーロラの彼方へ」という本でした。)
その後、星野さんはクマに襲われて亡くなったことを知ります。そして、私は貪るように星野さんの本を何冊も読みました。
中学生、高校生には星野さんの「旅する木」もおすすめです。

アラスカたんけん記
星野道夫 文・写真
たくさんのふしぎ傑作集
福音館書店
アラスカで一番高い山 デナリに登る

石川直樹さんも写真家ですが、人類学、民俗学など幅広い視野をもって、辺境から都市まであらゆる場所に足を運び、数々の作品を発表されています。
そんな石川直樹さんは、高校2年生のときにインド・ネパールへ一人旅に出て以来、2000年に北極から南極まで人力で踏破するPole to Poleプロジェクトに参加します。翌年の2001年には、七大陸最高峰登頂にも成功。
こちらの絵本の発行について石川直樹さんは、このようなメッセージを述べられています。
「決して子どものためだけではなく、アラスカを目指す全ての旅人に向けて書きました。デナリという山にひとりで登りに行くと、自分のあらゆる能力が試されて、それを一カ月の遠征期間のあいだに、どうしたって使い果たすことになります。こうした時間は、日々のありがたさを感じるために、ぼくにとってとても大切なものです。世界がこうした状況になって外出さえもままならない今、ぜひ読んでほしいと思っています」
先ほどの星野道夫さんと同じアラスカを題材にした本ですが、内容はまた全然違っています。

山に登るということは、全身くまなく使って「生きる」ということなのかもしれない。ぼくたちはいつだって生きているのに、山ではそのことをあらためて強く感じるんだ。
中高生には石川直樹さんの「地上に星座をつくる」もおすすめです。

アラスカで一番高い山 デナリに登る
石川直樹 文・写真
『月刊たくさんのふしぎ』4月号
福音館書店
エルマーのぼうけん

3冊目はガラッと雰囲気が変わって「エルマーのぼうけん」です。子どもの頃に読んだ!というお母さん、お父さんも多いのではないでしょうか?
筆者も子どもの頃に大好きで、何度も読んだ本の一つです。実際にこちらの写真の本は、筆者が子どもの頃に読んでいたもの。母が大事に保管してくれていました。
エルマーのお話は全部で3冊になりますが、この「エルマーのぼうけん」は第1冊目になります。1冊でお話が完結しているので、この1冊を読んで感想を書くことができます。(ただ、どんどん続きが読みたくなります。2.「エルマーとりゅう」3.「エルマーと16ぴきのりゅう」)
ところどころに絵はありますが、基本的には「児童書」です。けれど、難しい漢字は使われておらず、雨や島などの漢字にもルビがふられていので、小学生低学年のお子さんにおすすめな一冊です。
それに、表現豊かに丁寧に描かれたお話は、やっぱり長く愛されてき理由の一つなのではないでしょうか。子どもたちの心はそういったところにも魅了されるような気がします。
「エルマーのぼうけん」のあらすじ 年取ったノラ猫からどうぶつ島に囚われているりゅうの子どもの話を聞いたエルマーは、りゅうの子どもを助ける冒険の旅に出発します。どうぶつ島ではライオン、トラ、サイなど恐ろしい動物たちが待ちうけていました。エルマーは、知恵と勇気を振り絞り、次々と動物たちをやりこめていきます。

エルマーのぼうけん
ルース・スタイルス・ガネット 作
ルース・クリスマン・ガネット 絵
わたなべしげお 訳
まとめ
読書感想文の本として、3冊の本をご紹介させて頂きましたが、実はお子さんが興味をもって、感じたり考えたり、そして行動に移せたりすることが出来れば、どんな本だっていいような気がしますが(笑)
いろんな生き方があるし、いろんな価値観がある。そして世界は広い。
本を通してまだ見ぬ世界に触れることで「世の中にはこんな世界が広がっているんだ!」将来が楽しみになる。生きることが楽しみになる。
手にした本がそう思えるキッカケとなったらいいですよね。

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